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投石機の弾道学 世界史小ネタ第48回

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中世のヨーロッパの戦争では攻城戦が最大の山場。城壁をうち破るために開発されたのが「投石機」でした。以来「弾道を極める」ことへのこだわりが数学を発展させ、コンピューターを生みました。

投石機と言っても、今でいえば大型クレーン車ほどの巨大なもの。振り子とゴム(のようなもの)の弾力を利用して、重さ数十キロもある石を数百メートル飛ばすことが出来ました。見事城壁をうち砕いたときは拍手喝采を浴びたんでしょうね。

Ballista という弓のお化けのような投石機はすでにギリシャ・ローマ時代から使われていたようです。物理学者アルキメデスはこれの専門家で、第二次ポエニ戦争では大活躍だったとか。中世の投石機は Trebuchet と言って、振り子の反動を利用したもの。下のHPの図を見るとだいたいの原理はわかりますね。Catapults はこれらの総称のようです。

火薬を使った大砲が初めて実戦に登場したのは、14世紀の百年戦争。当初の大砲は四角い鉄棒を筒状に並べ、外側をタガで締めた簡単なもの。すでに完成の域にあった投石機と比べると命中精度はいまひとつでしたが、鋳鉄製のものが普及するにつれ、投石機に取って代わりました。

大砲はしかし火薬の種類、砲弾の重さ、発射角度、風向き、風速などによって弾道が刻々と変化する扱いにくい武器。砲撃手の経験と勘だけではなかなか精度が上がらなかったようです。そこで登場したのが、弾道の専門家すなわち砲術家でした。

イタリア人タルターリャは3次元方程式の解法の発見者として有名ですが、本職は弾道の専門家。45度で発射することがもっとも射程を稼ぐことに気づきました。ガリレイはこれを数学的に証明。「放物線(パラボラ曲線)」や「落下の法則」はその副産物と言われています。そう言えば、レオナルド=ダ=ヴィンチも大砲の研究で知られてますし、ミケランジェロは築城の専門家で、フィレンツェ郊外には彼の設計した城壁がいまだに残されているとか。

時代は変わって、第2次大戦末期。アフリカ戦線でドイツ軍と戦っていた英米軍は高射砲の命中率が落ちたことに気づきました。急遽、風速、気温、湿度、地球の自転までも組み込んだ弾道表の作り直しに着手。しかしこの作業は人間の計算力の限界を超えていました。エッカートとモークリーは、1万八千本の真空管を使った「自動計算機」にこの計算をさせることに。史上初のコンピューター 「ENIAC」が産声を上げた瞬間です。

参考にしました

戦争の科学―古代投石器からハイテク・軍事革命にいたる兵器と戦争の歴史
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大砲の歴史
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リンク

Http://www.newton.mec.edu/Brown/TE/CAT
Ballista Mangonel Trebuchet のちがいがよくわかる。

Http://members.iinet.net.au/~rmine/g
Trebuchet の図がたくさん。

Http://www.pbs.org/wgbh/nova/lostemp
Trebuchet を再現しているPBSのページ。

Http://www.middelaldercentret.dk/engl
Trebuchet や大砲など、中世の武器を再現。

Http://www.unisys.co.jp/ENIAC/welcome.html
ENIAC の誕生の背景を紹介した日本ユニシスのページ。