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ペスト 世界史小ネタ第30回

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14世紀の中頃、ヨーロッパはBlack Death (黒死病)の恐怖にさらされました。発病して1週間以内に60%が死亡、といいますから相当強烈ですね。1347年のイタリアの港町で最初に発見されて以来、わずか3,4年の間にヨーロッパ中に蔓延。あっという間に30%の人の命を奪いました。この事実だけでも、現代のエイズの比ではなかったことは想像できます。

19世紀末にペスト菌が日本の北里博士などによって発見され、ペスト菌をもったノミに寄生されたクマネズミが感染源だ、と今では誰でも知るようになりましたが、しかし、当時の人たちにとっては全く次元を超えた病気でした。その恐ろしさを少しでも知っていた医者は、真っ先に廃業するか、遠くへ旅に出て姿をくらませたそうです。

当時の人々は、この病気が空気から感染するものと信じていました。特に死者の発する臭いが原因ではと、あらゆる香水が振りまかれ、香草が炊かれました。ビャクシン、月桂樹、松、ブナ、レモンの葉、ローズマリー、樟脳、硫黄など。ある人は、外出するときかならず、香草入りオイルに浸したハンカチを顔にかぶせたとか。音楽療法もずいぶん試されました。ある町の教会の鐘は鳴り続け、別の町では大砲が打ち鳴らされました。

中には偶然ですが、効果的な方法が採られたケースもあったようです。ミラノでは病気が発生した家を丸ごと塗り込め、健康な人を隔離しました。ヴェニスでも隔離棟を用意し、健康な人は船に乗せて離島に運んだそうです。今から思えば、教皇クレメンス6世の採った方法はもっとも理にかなっていました。彼は一日中火を二つたき続け、その間で呼吸したそうです。

雲南地方(中国西南部)の風土病説が正しいかどうかわかりませんが、ペスト菌がアジア起源であることは間違いないようです。もし13世紀にモンゴル人がユーラシアをまたぐ大帝国を築かなかったなら、モンゴル製の交易ルートに沿って大勢の人とモノが行き交うことがなければ、少なくとも14世紀のヨーロッパのペスト大流行はなかったかも知れませんね。

参考にしました

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リンク

http://www.insecta-inspecta.com/flea
わかりやすく時代の雰囲気を伝えてます。

http://www.discovery.com/stories/hi
ヴィジュアルなページです。