目で見る世界史 TOP 






子供十字軍 世界史小ネタ 第27回

関連する小ネタ
1
2
3
4

関連するリンク
1
2

1202年インノケンティウス3世の呼びかけで始まった4回目の十字軍は、それまでの十字軍とは異質でした。スポンサーであったベネチア商人の陰謀で、味方のコンスタンチノープルを攻撃する迷走ぶり。ついに破門されてしまいます。権威回復をねらった教皇は、ヨーロッパ中にアジテーターを派遣し、十字軍への熱狂を再びかき立てます。こうした雰囲気にフランスやドイツの子供たちが鋭く反応したのでしょう。

1212年こと。フランスのオルレアン地方の小さな町に、ステファンという羊飼いの少年がいました。歳は12歳くらい。イエスの声を聴いた、と確信した彼は、「モーゼが紅海を渡ったときのように、海が割れるだろう」と周囲を説得します。少年の純真に年寄は感激し、子供たちは彼の周りに群がりました。

ステファンの仲間が数千人マルセイユに集合しました。少女もいます。海が割れないことに落胆した者は故郷に帰りましたが、その他の者は我慢強く待ちました。運良く数人の商人がやってきて無料でエルサレムまで運んでくれることに。喜んだ子供たちを乗せて、7隻の船は聖地目指して出航。しかし、その後の彼らの消息はぱったりと途絶えてしまいました。

20年近く経った1230年のこと、一人の僧侶がフランスに帰ってきました。当時の少年の一人だったという彼の口から衝撃的な事実が。7隻の船のうちの2隻は遭難して乗船者はすべて死亡。残りの5隻は無事上陸したものの、商人の計略で、アラブ人に売られ、アルジェリアやアレクサンドリアで奴隷になったこと。バグダッドに連れて行かれた者の何人かは改宗を拒否して殺されたこと。読み書きができた者は通訳、教師として重宝がられ、運良く自由の身になった者もいたこと。彼自身もそんな一人だというわけです。

今なら子供が行方不明になれば海外へでも即飛んでいくところ。中世の普通のヨーロッパ人の世界観がいかに狭かったかわかる話です。彼らにとって、地中海の対岸は異教徒の世界で、そこに迷い込んだ子供を捜し出すことなど想像もできなかったのでしょう。

参考にしました

少年十字軍
マルセル・シュウォッブ

王国社
1998-07
売り上げランキング 260,270


Amazonで詳しく見る
by G-Tools

リンク

http://www.pagesz.net/~stevek/anc
子供十字軍の詳細

http://atech2.wku.edu/crusades/
十字軍の全体像

http://crusades.boisestate.edu/
ヴィジュアルな構成