インドネシアのスラウェシ島とニューギニア島の中間にモルッカ諸島があります。香料諸島と呼ばれ、古くはイスラム商人、16世紀以降はヨーロッパ人たちがやってきて激しく利権を争いました。ここでしか採れないナツメグは、ヨーロッパに運ばれるとその320倍の値を付けたとか。
モルッカとはアラビア語の Malik (King) から派生した、「王の島」という意味。ちなみに、ミンダナオ(フィリピン南部の島)は、これもアラビア語で「大きなモルッカ」を意味し、両島の歴史的なつながりを示しています。
1512年に最初のポルトガル人が来航。以来100年ほどポルトガル人の支配が続きますが、17世紀にはいるとオランダ人たちが、地元のスルタンと協力してポルトガル人を追放します。オランダは以降第二次大戦後のインドネシアの独立まで、ジャワを拠点に香料貿易を独占しました。
しかし、香料への熱狂が去った今、この小さな島の住民の間で悲劇が起きています。1999年の1月以来、イスラム系住民によるキリスト教系住民に対する放火、殺人が始まり、犠牲者はすでに3000人を越えたとも。「ボスニアの悲劇」の再現です。他の圧倒的なイスラム地域とは異なり、植民地時代に重用されて島の過半を占めたクリスチャン。しかし独立後は他島のイスラム系住民の移住策が進行し、両勢力の間で少なからぬ緊張が生まれていたと指摘されています。
いずれにしても、イスラムを受け入れた東南アジアの島々の緩やかなつながりを引き裂くがごとく、強行された欧米勢力による植民地化政策、これが今回の悲劇の遠因といえるのではないでしょうか。
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