フィリピン諸島のほぼ真ん中ぐらいにセブ島という小さな島があります。今は観光地として、とくにダイビングの名所として観光客を集めているようです。この島のもう一つの見所として知られているのが、幅広い剣を持った屈強な若者の銅像。これがフィリピンの英雄ラプラプです。
1521年4月、この島にたどりついたマゼラン一行は、突然原住民に、全島民はスペインに服従せよという要求を突きつけます。他の酋長がしぶしぶ屈服したとき、マクタンという部族の酋長であったラプラプは、敢然と侵略者たちと闘うことを決意します。そして彼はセブ島の海岸で火器を携えたスペイン軍と戦い、撃退し、隊長マゼランを負傷させました。マゼランはこの傷により命を落とし、世界周航の夢を絶たれてしまうのです。
フィリピンは、以来1898年の米西戦争でスペインがアメリカに破れるまで、スペイン領となりました。フィリピンという名は当時のスペイン王フェリペ2世に由来することはよく知られた話です。
しかし、フィリピンの人々は、カトリックを受け入れつつも自分たちのルーツを忘れたわけではありません。マゼラン以前の土着の文化に対する思いは日増しに強くなっているようです。ラプラプフィッシュに、ラプラプダイビングセンター、果てはラプラプTシャツなど、この英雄の名に対する愛着がなによりそれを示しているのではないでしょうか。
参考にしました
マゼランが来た | |
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