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大英博物館の謎 世界史小ネタ 第10回

ロゼッタストーンで有名な大英博物館は、博物館の王様といってもいい存在でしょう。文化遺産ははぎ取ってきたところに返却すべきだという意見に納得する一方で、ギリシャ,アッシリア,エジプトの遺産がこれだけそろっていることの簡便さも魅力だ、などと考えてしまいますね。

でも,少し考えると不思議なことがあります。それはインドや中国のコレクションが少ないことです。当時の植民地状況からすれば、彼らが本気で収集しようとすればいくらでもできたはずですね。インド以東の文化の影が薄い理由はなんでしょうか。

考えられることはひとつ。大英博物館はイギリス人が自分たちの誇り高きルーツを子孫に語り継ぐための施設であって,珍奇な異国文化の陳列棚ではなかったということ。18世紀から19世紀のかけてのヨーロッパは、キリスト教とは少し距離を置きつつ、自分たちのルーツを探し求めた時代です。でも、彼らにとってルーツと呼べるのはギリシャ,エジプトまでだったのでは。インドや中国はエキゾティックで興味をそそる対象ではあっても,西欧文明とは直接関係のない異境(野蛮)の文化にすぎなかったのでしょう。

ロゼッタストーンは偶然発見されたわけではありません。当時のヨーロッパ人のエジプトに対する信じられないほどの熱狂が、ナポレオンをして数百人という学者を伴うエジプト遠征へと駆りたてたのではないでしょうか。

参考にしました

達人たちの大英博物館
松居 竜五

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リンク

  1. 大英博物館そのもの。たしか日本語版があったような。
    http://www.thebritishmuseum.ac.uk/
  2. 田中宇氏の『大英博物館が空っぽになる日』。博物館の歴史がわかります。
    http://tanakanews.com/991209marble.htm